手法

PoCと実証研究は、別物である

同じ言葉で呼んでいると、必要な準備がずれる。

「PoCをやりたい」の中身は二つある

ご相談の中で「PoCをやりたい」という言葉をよく聞きます。しかし話を聞いていくと、二つのまったく違うものが同じ名前で呼ばれています。

PoC(概念実証) は、アイデアや技術に「できる見込みがあるか」を簡易的に確かめる段階です。本格的な製品を作る前に行います。規模も対象も限定的で構いません。技術として成立するか、理屈が通るかを見ます。

実証研究(社会実装トライアル、パイロット試験) は、試作品を実際の現場で動かし、「使われるか」「効果があるか」「費用に見合うか」を確かめる段階です。製品化・事業化に直結します。

前者で確かめるのは可能性、後者で確かめるのは有効性です。

PoC(概念実証) 実証研究(社会実装トライアル)
確かめるもの できる見込みがあるか 使われるか、効果があるか
見ているもの 可能性 有効性
規模・対象 限定的でよい 実際の現場
比較対象 要らないことが多い 必要
評価指標 決めていなくてもよい 先に決める
次に使う先 社内の判断 資金調達、営業、論文、行政提案
どこに位置するか
  1. アイデア 理屈が通るか
  2. PoC できる見込みがあるか
  3. 試作 動くものにする
  4. 実証研究 現場で使われるか、効くか
  5. 製品化・事業化

混ざると何が起きるか

必要な準備が変わります。

PoCのつもりで始めたのに、途中から効果の証明を求められる。あるいは実証研究のつもりで現場に入ったのに、比較対象も評価指標も決めていない。どちらも、あとから設計をやり直すことになります。

現場を巻き込む場合はさらに影響が大きくなります。協力してくれた施設や利用者の時間を使ったのに、結果が使える形で残らない。次に協力してもらえなくなることが、いちばん大きな損失です。

どちらをやるべきかは、目的で決まる

決め方は単純です。その結果を、次に何に使うのか。

社内の判断材料にするだけならPoCで足ります。資金調達の裏づけにする、営業資料に載せる、論文にする、行政に提案する。このどれかなら、最初から実証研究として設計します。あとから条件を足すことはできません。

認知機能の測定を新しい市場に広げた事例では、研究テーマを設定する段階で「その成果がどの時点でどの意思決定に使われるか」を先に決めました。使い道から逆算すると、必要な設計の水準が自動的に決まります。

お問い合わせは hiluco.jp のフォームにまとめています。

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