手法
課題を、測れる単位に分解する
「うまくいっていない」は、そのままでは検証できない。
漠然とした課題は、漠然とした打ち手を生む
「高齢者の生活が不便になっている」という課題設定からは、何も始まりません。何を測れば改善したと言えるのかが決まらないためです。
分解すると変わります。たとえば「金銭管理が難しくなる」という一つの現象は、次のように分けられます。
金銭管理ができなくなる
- 記憶力 支払いの記憶、予定の記憶
- 注意力 金額の確認、計算の正確さ
- 段取りを組む力 予算立て、支出の管理
- 判断力 必要な出費の見極め
- 抽象的に考える力 将来を見越した貯蓄
- 言葉と数を理解する力 契約書、請求書の理解
こう分けると、「どの要素が落ちているのか」を確かめられます。そして要素ごとに打ち手が変わります。記憶力の問題なら記録の仕組み、注意力の問題なら確認の手順、判断力の問題なら第三者の関与。分解の粒度が、打ち手の精度を決めます。
分解は、思い込みを壊す
分解の効用は、精度が上がることだけではありません。前提が間違っていたことが分かることがあります。
香りのディフューザーを高齢者施設に置いた事例では、「香りの良さが伝わっていない」という仮説から始まりました。ところが現場で確かめると、そもそも香りに気づかれていなかった。伝え方の問題ではなく、届いていなかったのです。
「良さが伝わらない」を「届いている/届いていない」「感じている/感じていない」に分けたことで、検証すべきものが入れ替わりました。ここで分解していなければ、伝え方の改善に時間を使い続けていたはずです。
事業側でも同じ
これは製品開発だけの話ではありません。「売れていない」も同じように分解できます。
売れていない
- 知られていない 必要なのは広告や露出
- 知られているが選ばれない 必要なのは説明や価格
- 選ばれるが続かない 必要なのは製品そのものの改善
どこで落ちているかによって、打つべき手がまったく変わります。分けずに「売上を上げる施策」を考えると、当たるかどうかは運になります。
目的から逆算するとき、実際に行っているのはこの分解です。
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